メイラックスは不安症や睡眠障害に効果を持つ

メイラックスは「抗不安薬」のジャンルに入っています。そのため、不安症や、睡眠障害などに使われています。

 

ここでは、メイラックスが具体的にどういう症状に効くのか、発現時間はどのくらいかなどについて解説していきます。

 

目次

 

メイラックスは幅広い用途に利用される

 

メイラックスは抗不安薬の中でも使用頻度が高い医薬品となっています。その秘密は使い勝手の良さにあります。

 

精神的な不安

不安やあせり、緊張などを緩和するほか、うつのような精神状態を持ち直す効果があります。不安症だけでなく、神経症、更年期障害にも利用されることがあります。抗不安薬のなかでは作用は弱めですが、持続時間が長いためよく利用されます。

 

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睡眠障害治療

 

ベンゾジアゼピン系の中では睡眠作用が弱めなので「抗不安薬」という扱いですが、睡眠作用も発揮します。なので、睡眠障害・不眠症の対策として使われることもあります。メイラックスを服用すると、長時間効果が持続するためゆっくり休める傾向があります。

 

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心身症による不安

 

胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、過敏性腸症候群、自律神経失調症のうち、ストレスや不安が原因のものに関しては、メイラックスを使って不安を取り除き、治療を目指すケースがあります。

 

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メイラックスの効果が出る確率・頻度は?

 

メイラックスの効果について、何はなくとも「どのくらいの確率で効くのか?」という部分は気になります。そもそも有効率が低すぎるようだと、服用する意味がないからです。

 

メイラックスの添付文書に、各種症状に対する有効率が書かれているので見てみましょう。

 

症状

有効率

神経症(不安症など)

62. 3%(458例/735例)

胃・十二指腸潰瘍

89. 7%

慢性胃炎

75. 0%

過敏性腸症候群

70. 0%

自律神経失調症

65. 3%

参考ページ:メイラックス添付文書

 

↑が神経症、および各種心身症の有効率となります。不安症に関しては約60%で、その他の抗不安薬と同程度の有効率となっています。

 

心身症に関しては、胃・十二指腸潰瘍は突出して有効率が高く、ストレスに弱い胃や十二指腸の潰瘍に対してはかなりの効果があるようです。その他、過敏性腸症候群、自律神経失調症に関してもそこそこの有効率があります。

 

もちろん効果には個人差があり、必ず効果があるわけではありません。ただ、メイラックスにはそれぞれの症状にそれなりの効果が見込めることがわかります。

メイラックスの効果しくみ(作用機序)

 

メイラックスの具体的な効果を知る前に、なぜ効果が出るのか、その仕組みを知っておいた方がよいでしょう。メイラックスの作用のしくみ(作用機序)を解説します。

 

「不安」「焦り」などの感情は、脳が興奮しているときに起こる傾向があります。脳が過剰に動いていることで、いろいろな考えがよぎって不安や焦りがうまれるわけです。この不安が増幅されてしまうと、パニック障害や社会不安障害になって出てきてしまうこともあるので、脳の働きを抑制して落ち着きを取り戻すことが重要です。

 

 

↑が脳の抑制のイメージ図です。脳内の抑制にはCl-(Clイオン)が関わっています。脳にClイオンが入ってくることにより、脳の興奮が抑えられるわけです。

 

Clイオンは、GABA受容体、およびベンゾジアゼピン受容体を活発にすることで脳内に入りやすくなるとされています。メイラックスはGABA受容体とベンゾジアゼピン受容体の両方を活性化し、脳内へ流入するClイオンを増やします。その結果、脳がリラックスして不安が収まることになります。

 

ここで注意したいのが、ベンゾジアゼピン受容体には2種類あるということです。

 

ω1受容体 睡眠作用に関わる
ω2受容体 抗不安作用・筋弛緩作用に関わる

(※ω3受容体もあるが精神作用とはあまり関係ない)

 

同じベンゾジアゼピン系医薬品でも、「睡眠薬」と「抗不安薬」に分かれます。その理由は、↑のω1受容体とω2受容体のどちらに作用しやすいかによって分かれるからです。

 

メイラックスは、どちらかというとω2受容体に作用しやすい医薬品です。なので、抗不安作用を強く持っています。ω1受容体への作用も多少はありますが、ω2への作用ほどではないので「抗不安薬」と呼ばれているのです。

 

メイラックスの効果発現時間は?頓服利用は可能?

 

次は、メイラックスの効果発現時間・持続時間を知っておきましょう。発現・持続時間を把握しておくと、さらにメイラックスの効果への理解が深まります。

 

発現時間 約1時間
持続時間 約122時間

 

>>半減期や血中濃度最大時間|持続時間はどの程度?

 

メイラックス血中濃度や半減期の情報については↑の記事をご覧ください。

 

メイラックスの血中濃度は約1時間程度で最大になるため、甲は活源時間は30分~1時間程度と比較的短い方です。ただ、それよりも特筆すべきは半減期で、約122時間(約5日)もあります。そのため、いったん服用すると、長時間にわたって効果が持続するわけです。

 

持続時間が長いので、用法・用量についてもそれほど細かい取り決めはなく、「1日1~2回服用する」といったことしか書かれていません。それほど、服用スケジュールの自由度が高いということです。

 

一方で、頓服としての使用には適していません。効果発現時間は30分~1時間程度なので頓服に利用できそうに思えますが、いったん服用すると5日くらい効果が続いてしまうので、突然の不安などを解消する目的には適していないのです。

 

頓服としては、発現時間・持続時間の両方が短い「レキソタン」などの抗不安薬を使うのがよいでしょう。眠気も来にくいので、何かあったときに対応するならレキソタンのほうが適しています。

 

メイラックスは頓服としてではなく、日ごろから服用を続けることで、日常的な不安を解消する目的のほうがよいでしょう。

 

メイラックスの効果が出やすい症状とは?

 

メイラックスには、結局どんな症状に効果があるのでしょうか?ここでは、メイラックスが効果を発揮しやすい症状について解説します。

不安症・うつ状態・うつ病

 

メイラックスの作用機序のところで解説しましたが、メイラックスはGABA受容体・ベンゾジアゼピン受容体の働きを活性化させ、Clイオン流入を促して脳を落ち着かせます。

 

その結果、神経症が原因の不安・焦りなどに対しては約60%近い有効率を発揮します。つまり、メイラックスを服用することによって、半数以上の人に効果が出るということです。

 

そして、メイラックスの特徴はなんといっても半減期が非常に長いという部分にあります。その長さはなんと約120時間で、個人差はありますが5日程度は効果が持続することになります。

 

そのため、「薬を飲むのをどうしても忘れてしまいやすい」とか、「人と会う職場にいるので、薬を飲んでいるところを見られたくない」というような状況の人に向いている医薬品と言えるでしょう。

 

不眠症・睡眠障害

 

メイラックスは脳の働きを抑制して不安を改善する効果があります。また、睡眠をつかさどる受容体にもある程度作用するので、「不安が頭をめぐるせいで眠れない」タイプの不眠症・睡眠障害に対しては、一定の睡眠効果を持っています。

 

服用してから効果が出るまでの時間も1時間程度なので、不安があって入眠しにくい場合は活躍できるでしょう。なるべく就寝直前に服用することで、効果のピークをうまく拾って眠りに入りやすくなるはずです。逆に、メイラックスを服用してからテレビやスマートフォンを見て時間を使ってしまうと、効果発現のピークをむやみにやりすごすことになり、効率が悪くなるので注意しましょう。

 

心身症(胃潰瘍や過敏性腸症候群など)

 

胃や腸などの消化器官は、人間の体のなかでも特にストレスに弱い部位になります。大切な発表まえに緊張で胃が痛くなる・お腹が下る、なんて経験をした人も多いはずです。

 

そして、日常的にストレスにさらされてしまうと、胃潰瘍や慢性胃炎、過敏性腸症候群などの消化器疾患にかかりやすくなります。こういった症状に関しては、基本的には胃腸薬が用いられ、胃腸の症状そのものを治そうとします。ただ、もともとの原因がストレスだった場合、症状を収めてもまた再発する可能性が高くなります。

 

そこで、もともとのストレス・不安を緩和するために、メイラックスを利用するケースがあります。メイラックスを服用することで不安を抑え、胃腸の疾患の改善が期待できるほか、胃腸の症状によって苦しくてストレスがたまる、眠れないといった悪いスパイラルを断ち切ることも可能です。

 

すでに取り上げたように、メイラックスは心身症への適応もあり、胃潰瘍に伴う不安・緊張に関しては89. 7%の有効率を誇っています。そういった意味でも、メイラックスはむしろ心身症に関する不安への利用のほうが効果があると言ってもいいかもしれません。

 

メイラックスの効果がない、効かないケースはある?

 

メイラックスを服用していても、あまり効果がない、効きにくいといったケースも見られます。

 

不安と無関係の不眠症

 

不眠症・睡眠障害といっても、原因はさまざまです。

 

心理的要因 仕事・プライベートのストレスが原因の不眠症。
身体的要因 ケガが腰痛の痛み、皮膚などのかゆみ、花粉症やぜんそくのくしゃみ・咳などが原因の不眠症。
薬理学的要因 カフェインやニコチンなどの覚醒作用による不眠症。
精神的な要因 うつや統合失調症、不安症などによる不眠症。
その他の要因 昼夜逆転や時差ボケなどによる不眠症。

 

ざっくり挙げても↑のように分類されます。

 

メイラックスは確かにベンゾジアゼピン系の医薬品ですが、その中では睡眠作用が弱めとなっています。

 

ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬で特に強く発現するクロルプロチキセン睡眠増強作用は弱く、ニトラゼパムの1/14であった(マウス)。

 

添付文書にも↑の記述があり、同じくベンゾジアゼピン系のニトラゼパム(ベンザリン)に比べると1/10以下の睡眠作用しかないとされています。

 

すでに紹介したように、不安が伴って眠れない症状の場合は、メイラックスでも十分入眠できるようになる可能性はあります。しかし、身体的要因、薬理学的要因などの場合は、もともと不安がそれほど関係ないので、メイラックスでは十分な睡眠効果が得られないでしょう。

 

もし不安と関係ない原因で睡眠障害が出ている場合は、「アモバン」「マイスリー」といった、睡眠効果に特化した「睡眠薬」を利用するのが得策です。メイラックスはあくまで「抗不安薬」なので、日常の不安や焦り、緊張をとるのが役割です。睡眠障害だけがあるような場合は、医師に相談して最適な医薬品を処方してもらうようにしましょう。

 

筋弛緩作用(肩こり、腰痛など)

 

ベンゾジアゼピン系医薬品には「筋弛緩作用」があり、肩こりや腰痛を改善する医薬品も存在します。ω2受容体を活性化すると不安が抑制されますが、それにともなって「筋弛緩作用」も発揮されるのです。

 

メイラックスもω2受容体への作用があるので、肩こり・腰痛がとれる可能性は確かにあります。とはいえ、添付文書上では適応とはなっておらず、肩こり・腰痛のみの治療目的でメイラックスが処方されることはほとんどないでしょう。同種の抗不安薬「デパス」には明確に肩こりへの適応があるため、病院で肩こり治療を頼んだ場合はデパスが処方されることになるはずです。

 

デパスの場合、肩こりの有効率は70%を超えており、比較的高い治療効果があります。

 

メイラックスのジェネリックも効果は同じなの?

 

医薬品には特許があり、特許を持つ会社しか製造できません。しかし、一定の年数が経過して特許が切れると、「ジェネリック医薬品」として各社が同じ成分の医薬品を作れるようになります。そういった医薬品は「後発品」とも呼ばれ、安く販売されています。

 

メイラックスの場合、「ロフラゼプ酸エチル錠」「ジメトックス錠」の名前で販売されています。価格としては、だいたい先発品のメイラックスの60~70%オフになっています。

 

全く同じ成分をつかっているので、当たり前ですが効果に関しても全く同じ作用が期待できます。ジェネリックだから効果がないということはありませんので安心して利用できます。

 

まとめ

 

メイラックスには、脳の働きを抑制して落ち着いた気分を持たせる作用があります。

 

  1. 不安・うつ
  2. 不安をともなう睡眠障害
  3. 不安が原因の心身症

 

そのため、上記の症状について効果が見られます。とはいえ、有効率については60~80%程度とまばらとなり、絶対に治るというものでなありません。また、持続時間が極めて長いため、頓服としては適していません。

 

また、メイラックスを服用するうえで外せないのが「副作用」「離脱症状」です。メイラックスは持続時間が長い上に長期服用にもなりやすいので、依存性・耐性形成リスクが発生します。そのため、休薬・断薬をすると離脱症状が起こる可能性があるのです。

 

>>メイラックスの副作用【断薬の離脱症状を抑えるには】

 

↑は、メイラックスの副作用について解説した記事になります。一度確認してみてください。